受験生の思い出
今週のお題「受験」
あれはセンター試験も差し迫った冬の日の塾でのことでした。
その日は珍しく午前中から調子が良く、センター試験の倫理をしゃかりきに勉強しておったのです。
ノリにのってきたところで電話が鳴りました。
よりによって母か。
なんや、せっかくノリノリなのに。
いささかの不満を覚えながら電話に出ると、妙にテンションが高い。
「あんた!番号あるで!」
なんということでしょう。
その日はすっかり忘れていた、推薦入試の合格発表日だったのです。
いつも素っ頓狂な答えばっかり出してる素っ頓狂な僕は、極め付けの素っ頓狂な声を出しました。
なお、合格発表の日を忘れていたのは僕だけではありません。
母も思いっきり忘れていたのです。
思いっきり忘れて、韓流ドラマを動画サイトで見ていたはずみで、たまたま思い出したそうなのです。
なんということでしょう。
あまりに突拍子のないせがれの受験番号の登場に狼狽たのか。
母は僕よりも先に父に電話をしました。
すると父は、割とキレ気味で
「それは去年のだろう」
と母を叱ったそうです。
なんということでしょう。
まぁとりあえず、私の受験生時代はおもむろに終わりを告げ、特に行く必要もなかったのですが、大学の掲示板を見に行き自分の番号を確かめて、ラーメンを食って帰りました。
そして翌年の初詣にて、地元の神社おみくじにはこう書いてありました。
「時ならぬ鶯の声が鳴く」